グルメ

北海道を代表する

シェフ兼起業家

勝山良美

執念のシェフが作る
札幌カリーせんべい
カリカリまだある?

「料理に国籍は重要でないと思います。美味しい料理は誰が食べても美味しいですから。」このような考えで料理を始めた勝山良美氏は現在、北海道で成功を収めた料理人の1人である。しかし、彼は最初から料理人を目指していたわけではなかったという。通常は、料理学校に通うか、有名なレストランで修行をして一人前になるのが一般的だが、彼の料理人生は「たい焼き屋」から始まったのであった。トラックの後方に調理器具をセットし、その場でたい焼きをつくっていた。一見、どこにでも見られる普通の「たい焼き屋」であったが、彼の店には普通の店では見られない、行列のできる風景があった。有名路面店でもないトラック販売店の後ろに、たった数個のたい焼きを買うための列。この列が作られた理由は意外と単純であった。それは、たい焼きが甘くなかったからだ。通常のたい焼きでは、日持ちを良くするために小豆を甘く煮るのが常識であったが、彼はせいぜい1日くらいしか日持ちしない、甘くないあんこをたい焼きに入れたのである。たっぷりの甘くないあんこが入ったたい焼きは豊かな香りと深い味わいを増し、たい焼きを贅沢なものに変身させたのであった。今となってみれば大したことではないかもしれないが、今から35年前は新鮮な挑戦であり、甘くないものを好む当時のニーズも受け、大ブレイクを起こしたのである。もはや、彼のたい焼きは現代の常識となっている。トラックの後ろから成功を手にした勝山良美氏は、次々と斬新なアイディアで事業を成功させるようになり、ついにレストランYOSHIMIを立ち上げるまでに至る。彼のレストランのテーマはenjoyだ。レストランとは楽しい所でなければならないという考えからだ。もちろん、料理が美味しいのは基本中の基本。様々な経験から生み出された経営のノウハウからYOSHIMIも成功の道を歩むこと
になる。また、勝山良美氏は従業員を大切にしており、自らレストランのスタッフに美味しくこだわりのあるまかないをつくって食べさせていた。その際、よくつくっていたのがカレーであった。このカレーは市販のカレールー等は一切使わず、数多くのスパイスを混ぜてつくったものであった。このカレーを常連のお客様に食べて頂いたところ、美味しさにびっくりされて、料理人になることをすすめられた。さらに彼は、自身の経営哲学であるenjoyを、より多くの客に届けるために、39歳の年齢で料理人の道に入った。経営者でありながら料理人となった勝山良美氏は、店内の徹底的な改造に取り組む。厨房を店の中央におき、ステージの様に一段高く設置した。店のどこからでも料理する彼の姿が見えるように仕上げたのだ。これはまさに、厨房を彼のための舞台にするようなつくりだった。厨房で楽しく料理をする姿、お客様との会話、そして、国籍ははっきりしないけれども確実に美味しい料理。勝山良美氏は主演俳優であって、料理は楽しいストーリー、食欲をいや増す料理の香りはBGMだった。1本のミュージカルであるかのようなこのレストランは当然のごとく多くの人気を集め、現在では、日本全国に店舗を構えるまでに至っている。レストランで成功を収めた勝山良美氏は新たな夢を見る。それは、北海道の新名物を彼の手でつくることであった。新しい商品のテーマは、彼が初めてつくった料理であり、北海道名物でもある「スープカレー」をせんべいで再現すること。一旦やると決めたことはとことんやるのが彼の強み。普通は価格的な面を考慮し、低価格のカレー粉末を使うのが一般的であるが、このような原料では本来のカレーの味は出せないと判断し、実際にカレーに入れるスパイスをせんべいに使うことを決めた。制作コストより味にこだわる彼の性格ゆえの結論であった。さらに、ベースにエビせんべいを使い、より深い味わいを出すことに力を入れた。しかし、実際の製品をつくるまでの課程には様々な不安要素があった。収益性や市場の反応が不透明であったからだ。それでも、「これを食べる人が enjoyできないのならつくらない方が良い」と考えた彼は、この企画を最後まで進め、生まれたのが「カリカリまだある?」だ。こだわり抜いて登場させた製品であるだけに、失敗の不安も大きかったが、市場の反応は爆発的だった。発売年度に数億円の売り上げを記録し、翌年以降もその販売実績は伸びていった。固すぎず、柔らかすぎず癖になるせんべいの食感と香り豊かなスパイス、塩味の絶妙なバランス。彼の繊細な味覚が消費者に大きく受け入れられたのである。今では北海道を代表とする新名物として、なお成長を続けている。彼の熱意、執念、才能、ハングリー精神でつくりあげた「カリカリまだある?」。是非、試してみることをおすすめする。

感動の新作
チョコレートラスク

 チョコレートラスクは勝山良美氏がつくりだした最新作である。ラスクはフランスパンや食パンなどを2度焼きあげてつくるビスケットの菓子のことをいう。過去、ヨーロッパでは庶民的な食べ物として愛されてきたラスク。今はその形も味も新しくなり、人気の焼き菓子となっている。日本でも多数のメーカーがラスクをつくっているが、勝山良美氏が今回つくったラスクは、彼だけの独特なアイディアやこだわりが生み出した傑作だといえるだろう。
 食べ物の宝庫、北海道。日本では、北海道のブランドは説明もいらないほど有名であり、北海道産というだけでプレミア感がつくほどの味と品質を誇るのである。今回、勝山良美氏がつくったチョコレートラスクにも、北海道の良さがふんだんに溶け込んでいる。一般的なフランスパンでラスクをつくると、2度焼いた際に中のわずかな水分が蒸発してしまい、かなり固くなり食べにくくなる場合が多い。「固いからこそ、ラスクだ!」とこだわりを持っている人もいるかもしれないが、固いフランスパンを食べるのはそんなに簡単なことではない。
 今回勝山良美氏がつくりあげたラスクは、今までのラスクとは少し次元が違うものに仕上がっている。特別につくられたフランスパンは、2度焼くことを最初から想定し、水分量などが最適に調整し、軽くサクサクとした口どけの良い食感に仕上げた。勝山氏が生み出したラスク商品は5種類。砂糖がトッピングされた「北海道シュガー」やホワイト、ビター、抹茶、コーンチョコレートラスクがそれだ。持にラスクのポテンシャルを1番発揮しているのが「北海道シュガー」だ。北海道シュガーに使用される砂糖は全て北海道産である。北海道では100%てん菜から砂糖をつくっている。さらに砂糖の生産量としても日本一で、国産砂糖の量の79%を占めている。実は北海道は砂糖大国でもあるのだ。日本で一番砂糖に詳しい北海道。あらゆる砂糖の中でラスクと1番組み合わせが良いものを勝山良美氏は時間をかけて徹底に調べ、厳選した砂糖だけを「北海道シュガー」に使っている。それによって、食感の良いラスクの生地と優雅に踊るような甘さが驚くようなマリアージュをつくり上げている。これは、食べてみた人だけが感じられる特権だろう。まさしく、焼き菓子を超えた別の次元の食べ物だ。
 チョコレートがコーチングされた4種類のチョコレートラスクの中でも、北海道の白い雪をイメージしてつくり上げた、ホワイトチョコレートラスクは絶品だ。こちらにも、妥協を許さない勝山氏のこだわりがある。ラスクに使用されるカカオバターに最高級品を使用していることはもちろん、微妙な甘さの調整、口溶けやすさをストイックなまでに追求したものである。口に入れた瞬間に溶け始めるチョコレートがラスク生地の隅々まで柔らかく上品な甘さで包み込む。まさしく、白い雪で覆われた大地の風景が思い浮かぶ味だといえるだろう。味で北海道の静かな風景やイメージをつくり出すこと。これは、料理人ながら、特別な才能がなければつくれない味ではないか。食べれば食べるほど納得のいく味である。