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交通

Airport Liner

北都交通

 

 世界中何処へ行っても空港と都心をつなげる交通の便を探すのは簡単そうでそうでないことが多い。旅行に慣れていて事前に多くの情報を所得してもそれは変わらないはずだ。馴染みのない、初めて足を運ぶ地であればなおさらドキドキ感が止まらない。しかし、新しい地での空気、見慣れない看板や風景が心臓の鼓動をワクワクに変えてくれるかもしれない。
 誰もが知っているはずだが、旅行地で最初に利用する目的地までの交通手段は意外と重要である。旅行が専門である私さえ異国へ行くと何度も道や乗り場などを聞いてやっと行き先までの経路を理解する。ここで、札幌での旅行がスムーズなスタートを切れる有効な手段を紹介しよう。それは、実は何処にでもありそうなバスだ。極めて珍しくもない空港の連絡バス。しかし、北海道のバスには何か特別なものがある。さらに、日本では普通とされるバスの運転の仕方や丁寧な案内などは初めてバスを利用する外国人には珍しい体験でもあるだろう。また、雪が多い北海度で、大きな荷物がある場合、JR鉄道などと比べ、乗り換えもないことや、目的地まで座ったまま楽に移動できることもメリットのひとつである。そのうえ、雪で覆われている車窓の風景、真っ白な道路は北海道や雪が多い地域から訪れた人にとっては迷惑以外の何でもないかもしれないが、このような道を走った経験がない人には感性で溢れている道程だろう。
 空港と札幌市内の主要ホテルや観光地まで結ぶ北都交通の空港連絡バス(リムジンバス)は新千歳空港の国内線や国際線ターミナルから乗車可能である。新千歳・札幌間の所要時間は約1時間である。バス以外にもJR鉄道やタクシーなどの交通機関もあるが、便利さや値段的な面からみてもバスが一番優れているのではないか。格安ながら、ホテルの入り口付近までそのまま行ける利便性の良さで人気を博す。さらに、雪が多い季節であれば、乗り換えも不要であることや、寒くて滑り易い道を歩かなくてもすむ。荷物が多い場合はその道程が過酷な訓練のように感じられるだろう。私も初めて札幌に行った時はバスの存在を知らず、何回も転びながら吹雪の中を歩いてやっとのことでホテルまでたどり着いた記憶がある。もちろん、後になって考えてみればいい思い出のひとつにはなっているかもしれない。だが、また同じ思いを繰り返したくはないのである。
 なかには、雪が多い道を車が走ることは危ないのではないかと心配する人もいるだろう。しかし、北都交通のバスドライバーはこと雪道に関しては職人レベルの実力の持ち主が多い。カーブを曲がる半径、止まる際のブレーキのタイミング。全て天候によって微妙に調整しなくてはならないものであり、経験を積み重ねた末に会得した技だ。彼らの運転を見ていると、雪道の安全な運転を保証するために日々努力を重ねているに違いないと感じられる。冬道の達人が運転するバスに乗って、雪で覆われている道を走ると、ゆったりした車に乗ってどこかへドライブに出かける気分だ。窓の外には札幌の人々の静かで幸せそうな生活の風景や写真で見たことがある観光地の風景が徐々に見え、本当に旅行が始まったと実感できる。
 北都交通では世の中でバスが一番好きだと言ってるバスマニアが勤務している。バス好きが功を奏してこの会社に入社し、今年で3年目を迎える若き社員、高森悠太氏がその人だ。彼のバス愛は相当深いものである。排気音やエンジン音を聞いてバスの種類を区別できるだけではなく、それがエキサイティングな音楽にすら聞こえるという。また、凡人には分かりかねる知識も数多くあり、例えば、車の年式による特徴、オプション、シートの柄などの特徴などに見識がある。もちろん、車の調子が良い時、悪い時も音や振動ですぐわかるという。バスを愛する高森氏のような人が運転してくれることを考えると心強い。頼もしい。便利さとドライブの爽やかな気持ち、雪道をなめらかに滑って行くバス運転職人達の姿を忘れられないバス。単なる交通手段の意味を超えた乗り物を是非体験してみては。

* 乗車場所 : 新千歳空港及び空港連絡バス(隣のページ参照)
  料金 : 1,030円 (新千歳空港-札幌市内, 路線によって変動)
  乗車時間 : ホームページ参照 ( http://www.hokto.co.jp/s/smatop.html )
  所要時間 : 約1時間 (札幌駅前-新千歳空港間基準)

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